監督 ダリウス・マーダー
さすがのアカデミー音響賞作品だった。
映画館で観ることを強くおすすめしたい。
聴力をだんだんと失っていくとは、どういうことなのか？実体験した人にしかわからない感覚を、観客は音に埋没する感覚で、追体験することになるんだ。
そこで感じるのは、焦りや恐怖、絶望感。
観客にそんな感情を抱かせる程の音響演出の熱量は、映画館で体験したほうが配信で観るより何倍も感じることができるはずだ。
僕の周りに、つい最近、難病と戦うことになった知人がいる。ちょうど映画を観る前に、その彼とリモートで話をしていたんだ。
数年後、寝たきりになってしまうだろう彼は、何かとつながっていないと、なんの為に生きているのかわからなくなると言っていた。
その言葉が、映画を観ている最中に、何回もリフレインしてくる。
もし、普通にあった機能を失ってしまった時、一旦は絶望の淵を彷徨うかもしれない。でも、そこから這いあがって立派に生きている人達は、たくさんいる。
聴力を失ったドラマーも、あるべき姿を悟る。
そして這いあがっていく光は見えた。
