たま

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のたまのレビュー・感想・評価

4.5
失ったものは取り戻せない。
それでも受け入れることは出来る。

解決するのは耳ではなく心。

ルーベンとルー。キャンピングカーで共に生活し、全米各地を巡りヘビメタバンドで活動する。

ふたりは4年前から付き合っている。ルーベンは4年前にヘロイン中毒を克服したというから、ふたりの関係がよく分かる。

ふたりの愛は本物。お互いなくてはならない存在。

ところがルーベンに起きた突然の異変。耳が聞こえなくなるという現実に、向き合わなければならなかった。

ルーの勧めでろう者の支援コミニュティに入所するルーベン。
なかなか現実を受け入れられず、自暴自棄になるルーベン。
(ドーナツを潰さないで…泣)

滑り台でのシーンが印象的だった。耳を当てれば音と振動を体で感じることが出来る。
皆でピアノに耳を当てるシーンもある。感じる喜びが伝わってくる。

ようやく状況に馴染み始めた頃、
それでも失ったものを取り戻すため、ルーは手術を受けコミュニティを後にする。

再会を果たしたルーベンとルー。
元の生活に戻ろうと夢を語るルーベンは、ルーのふとした行動でルーの深層心理に気づいてしまう。

ふたりの生きる道が、元々違っていた事を悟ったルーベンを見ていて辛かった。
お互い愛し合っているだけに。

リズ・アーメッドの演技に釘付けになる。

静寂を取り戻したルーベンの、見開いた瞳の見る先は……
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