誰かに言いたかったことを馬に話す彼。馬は人間と同じ言葉を持たないけれど、馬に話すことで誰にもわかってもらえない孤独を彼は渡せていたのだと思う。
家までの帰り道を歩きながら、誰にも繋がっていない電話を耳に当てて独り言を言う時が僕にもある。家でもたくさん独り言を言っている。身体の内から外に言葉を吐き出すことで、きっと楽になったり救われたりしている。そうやって、誰かを傷つけないでいられたりしたこともあるんじゃないかと思う。
自分の足で走りたい彼は馬に乗らない。
無銭飲食を逃してくれた後で映す二人の顔、引きで撮る荒野。撮り方が美しかった。