Yoshi

マグダラのマリアのYoshiのレビュー・感想・評価

マグダラのマリア(2018年製作の映画)
3.8
キリストの復活の最初の証人と言われるマグダラのマリア。
聖書の解読だったりその関連の研究だったりは現在も続いている訳で、実際のところ正解は分からない訳なのですが、この作品の解釈は、アップデートされた現代版という感じがしてとても分かりやすかったです。

個人的には最初の30分が内容的になかなかキツくて(男性優位な閉鎖的な環境)、マリアが洗礼を受けたシーンで何故かぼろぼろ泣いてしまいました。
この先楽になるわけではないけれど、救われる、とはこういうことなのだろうと、物凄く感情移入してしまいました。

そのマリアが洗礼を受けたシーンですが、使徒であるペトロとユダが、「女は我々を引き裂く」「女は加われないのか」「人々がどう見る」という会話があり、これが世間から見た側面なのかなぁとも思いました。
グレゴリウス1世が、「マリアは娼婦」だと言ってそれが広まったとの補足がありましたが、なるほどなと思いました。

全体的に荘厳な風景の中、ストーリーも粛々と進んでいくので、物足りないと思われる方も多いかもと思いました。
一行がエルサレムに着く頃から不穏な雰囲気があり、胸が痛くなりました。

残念だったのはラスト。
前出の使徒2人の会話からも、まあ予想は少し付いていたのですが、マリアの慈悲に心打たれ丸くなったと思っていたペトロが、そう言う???となってしまいました。
勿論気持ち的にはわかりらなくもないのですが(ぽっと出のマリアをひいきされてる的な)、えええーとなりました。
いや、うーん、でも人間的であると言えばその通りなのかな。使徒ではあるけれど、迷いもある普通の人間として彼らを描きたかったのかな。
やはり宗教的なものは作る側も見る側も難しいなと思いました。

美しい映像と個性的なキャラクターはとても好きです。
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