あなぐらむ

安城家の舞踏會のあなぐらむのレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
3.9
戦後ガラガラポンで身分制が崩れ、没落していく華族一家の最後の舞踏会までの数日を、健気な末娘・原節子を中心に据え、流麗なカメラと新藤兼人らしい「戦後」を冷静に見つめる作劇で、まるで舞台劇の様に見せていく。

滝沢修の父と原節子はどこか近親愛的にも見えた。
まだ殿山泰司が若くていい。安部徹はこの頃は吉村組なんだな。
森雅之が、いかにもな複雑な心情を持つ華族の青年を演じ見事。身分とか差別とかは、する側される側が時の制度であっという間に入れ替わるのだ。
金だけが権力となった戦後民主主義の始まりを告げる一作でもある。