佐藤克巳

安城家の舞踏會の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

安城家の舞踏會(1947年製作の映画)
5.0
GHQが敗戦日本に押し付けた改革の一つで皇室の藩屏たる華族制度を解体、多額の財産税を課せられため、上流階級の没落が起こった。邸宅が闇商売の成金清水将夫からの借金で差押えられようとする名門伯爵家で、当惑する当主滝沢修に代わって次女原節子が、元自動車運転手から成り上がった神田隆に、その救済を求めて行動するが家族の決断が得られず、舞踏会を開催する。そこに現れた神田は、長女逢初夢子に結婚を申し込むが断られ屈辱感に苦しむが原の申し出は承諾する。滝沢は、会場で妾との結婚を宣言したものの失意の自殺を試みる。原が、それを未然に防ぎ蓄音機の音楽に乗せて父と最後のダンスを踊る。一方長男森雅之が、清水への復讐のため娘津島恵子を狙ったが、神田を追う長女同様元の鞘に収まる。戦後の退廃した世相に鋭く切り込んだ吉村公三郎監督、新藤兼人脚本コンビの見事な成果を挙げた傑作中の傑作である。
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