撲殺

あゝ、荒野 前篇の撲殺のレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)
4.0
まず菅田将暉演じる新次がとにかくカッコいい。私は原作の小説を先に読んでいたのだが、軽いノリの小説版新次に対して映画版新次は軽いものの常にどこか影のある男になっておりこれが非常に良い。菅田のハマり役だと思う。また健二役のヤン・イクチュンも素晴らしい。原作では健二はもう少し自己主張があるキャラクターなのだが、新次の個性が強い分映画版健二の控えめさが丁度いいのだろうか。

やはり舞台が現代ということもあってか、ユースケ・サンタマリア演じる「片目」こと堀口や木下あかり演じる芳子も現代風にキャラクターや設定を変えている。やはりどのキャラクターも変に原作を踏襲しすぎず、あくまで映画オリジナルであることが没入しやすさに繋がっているのだろうと思う。

ちなみに大学生の奇妙な自殺サークルの話は原作と同様トイレ休憩タイムだなと思った。あんまり意味なし。

しかしこの映画といい「100円の恋」といいボクシング邦画はリアリティがある映画が多い。
余談だが私は1年ほどボクシングジムに通っており、そこでプロの方々とスパーリングをしていた。この映画を見て気づいたのだが、成功するかは別としてプロボクサーになる人は本当に新次のようなヤンキーオラオラタイプと健二のような控えめで大人しい人にハッキリと別れる。中途半端な人がいないのだ。不思議なボクサーの性質なのかと思った。
撲殺

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