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アリスまたは最後の家出のnyakoのネタバレレビュー・内容・結末

アリスまたは最後の家出(1977年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

フリッツ・ラングを偲んでとのテロップあり。

久々にシャブロル監督作品。
(ゆっくりマラソン中…)
不思議の国のアリスのような物語で、監督作中、こんな不思議な話は初めて。

パートナーと別れ、車で家を飛び出したアリス。
引き止める彼にもう我慢できないと告げて。
車を走らせる途中フロントガラスが割れ、突然の豪雨。
慌てて付近で見つけた屋敷へ助けを求めたアリスを迎えてくれたのは、屋敷の主人らしきヘンリという老人と執事。
そして華美ではないけど品の良い調度品で整えられた屋敷。
ずぶ濡れの彼女を快く受け入れてくれた二人に、安堵するアリスだったが…。
まさかこの屋敷の敷地から出ることが出来なくなってしまうとは…!

次の日、目覚めて階下に行くと
誰もいなくなっていた。
台所へ行くとお湯の沸いたケトル。
角砂糖3つ。
ティーボウルとポットがテーブルに並べてある。
そしてバゲットとバター。
ここが謎がけされてるみたいでとてもいい。

その後、メッセージを残し再び出発しようとするアリス。
フロントガラスは直っていて代わりに大きなかたつむり。ところが車で出ようとするもどこもかしこも草や木で阻まれる。
車は諦め、今度は徒歩で出ようとするも、ぐるりと壁に囲まれて出口がどこにもみつからない。

どこからか謎の白い服の男が現れ、ここは入ることはできるが出ることは出来ないところだと言う。
今度は壁を乗り越えようとよじ登るも、壁の向こうは鬱蒼と草の茂みに覆われていた。
絶望して屋敷に戻るアリス。

市松模様のタイルや振り子の壊れた置き時計。
針の飛んだレコードがエンドレス。
鳴り響く電話に出ると、自分の声と会話する。
何もかも謎だらけ。
次々と現れる登場人物も決して質問にこたえをくれない。

ここを出るヒントはなに?
振り子時計が再び動き出すとき?
空間が歪み、床の角度がおかしくなり…。
外の世界もまたどこか違和感があって…。
ガソリンスタンドで出会う不思議な少女、乱痴気騒ぎのレストランでのシーンも面白い。
この不思議世界にはちゃんと理由があって…それは後でわかるのでオチは知らずに観た方がいい。

シルビア・クリステルがとても美しく撮られていて…神秘的な顔も髪型もエレガンスでパーフェクト。
ドレスから覗く足からヒールのライン、ちょっとだけ拝めるヌードも当然美しく、たなびくドレス、ガウンがはためく様子までも美しかったな。
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