イチロヲ

The Toolbox Murders(原題)のイチロヲのレビュー・感想・評価

The Toolbox Murders(原題)(1978年製作の映画)
3.5
行方知れずとなった妹を捜索する青年が、連続婦女殺人事件との接点を探り当てようとする。サイコパスの暗躍を描いている、不条理系スラッシャー・ホラー。

目出し帽を被り工具箱を持ち歩く男が、電気ドリルや釘打機などを利用して、若い女性を狙った猟奇殺人を繰り広げる。女優陣のお色気描写がてんこ盛りになっており、"丸裸の状態で襲われる恐怖"の他、"自慰行為中に襲われる恐怖"も描かれる。

後半部に入ると、スラッシャー路線からサイコ・スリラー路線へとドラマが転調。亡き娘の幻影に取り憑かれている中年男が、拉致した少女を代替にしてしまう。少女の兄を中心に据えた捜索劇にも、あっと驚く変化球が付けられている。

中盤からの転調により見世物要素が停滞してしまうけれども、頭がおかしな人の生態観察ムービーとしては及第点。犯罪者と被害者の双方に居た堪れない境遇が設定されており、立場が入れ替わる不条理性を享受することができる。
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