ヒカル

バンコクナイツのヒカルのレビュー・感想・評価

バンコクナイツ(2016年製作の映画)
4.4
@テアトル新宿
『サウダーヂ』同様、ここではないどこかへの願望の話。
「エコノミック・ダウン、メルト・ダウン、エブリシング・ダウン」の日本を捨て、オザワはタイのバンコクに流れ着くが、そこはラックにとって金のために男達の欲望を満たさねばならぬ煉獄である。
二人はここではないどこか、桃源郷を目指して旅に出る。辿り着くのはラックの故郷イサーン。イサーンはタイの貧困地帯で、バンコクへの多くの出稼ぎ労働者の出身地である。
しかし、そのイサーンの風景が素晴らしく、オザワ同様に此処こそ地上の楽園ではないかと思える程。そこでは過去と現在、生者と死者が同居し、独特の時間が流れている。この感覚は『バンコクナイツ』を観る時のそれそのもので、三時間の間、東京の都会からタイの桃源郷に旅をしている気分になった。
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