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兵士A 七尾旅人
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目次

『兵士A 七尾旅人』に投稿された感想・評価

今年のスクリーン鑑賞初め三本ハシゴの3本目はアップリンク渋谷の≪見逃した映画特集2016≫から、一緒に観に行った片腕ファルコンさんのお勧めで本作をチョイス。

上映時間が175分と、ほぼ3時間もあるので集中力が求められる作品なので気合いを入れて鑑賞に臨む。


さて本作「兵士A」。
七尾旅人というシンガーソングライターのライヴステージを撮ったものです。

ライヴといっても普通のコンサートではなく、日本の危うい平和に疑問を呈するテーマを、耳にではなく胸の奥に染み込ませるような、まるで舞台劇のようなライヴ。

迷彩服を着て、アコースティックギターとシーケンサーを奏でながら歌う旅人。
いや、歌というよりまるで台詞のようだ。

日本が近未来に再び戦争になり、そこで戦死してしまう自衛官が時空を超えて太平洋戦争から近未来までの時代を俯瞰していく。

今のこの現在を新たな≪戦前≫と捉えた斬り口にひやりと粟立つ。

兵士の魂に去来するものは…?
我々が選んできた道は…?
いったい誰が未来に責任が持てるのか…?

ほとんどの曲は執拗なまでに反復を繰り返し、観る者の身動ぎをも許さない。

同じ旋律が延々とループされる。

同じ歌詞が延々とループされる。

時折映るライヴの観客の様子を見ても、皆、旅人を注視し、身体は固着しているかのように動かない。

同じ旋律が延々とループされる。

同じ歌詞が延々とループされる。

鉄腕アトムの足音が延々とループされる。

「ヒソヒソヒソ… ダカラ、ツマリ…」
アトムの言葉が延々とループされていく…

旅人がステージを去り、兵士Aの百年に渡る魂の旅が終わる。
いや、終わりではなく無限にループしていくのかも知れない。
この国の意識が変わらない限り…


三時間近いライヴを旅人は息をつかずにやるのですが、だんだん目がイッちゃってくるのに圧倒されました。

独りでのパフォーマンスですが、最後だけベテランのサックスプレイヤーである梅津和時が出てきました。
後で知りましたが、梅津さんの演奏はリハなしの完全にインプロヴィゼーションで行ったそうです。
いや、メチャメチャ一体感があったぞ!!!

七尾旅人という名前は聞いたことがあったけど、どういう音楽をやるのか全く知らないまま鑑賞してしまいましたが、アコギで弾き語るだけではなく、新しい音楽表現を模索しているのがビシビシ感じられました。

後で普段はどういう曲を演ってるのか調べたら、私の地元を舞台にした曲もあり、今後気になるミュージシャンになりました。

CD等の音楽ソフトではなく、ライヴの記録映像ともまた違う、新しい表現の発信として作り上げた本作は、思想や表現の場としてのフォーマットにしているという意味で映画として成り立っているのだと思います。
8bit

8bitの感想・評価

5.0
今日はお休みだったので、時間と心に余裕があるときに観ようと思っていたこれを、満を持して鑑賞。
175分という長尺、そして題材が題材だけに休憩を入れつつ一日かけて観るつもりでいたけど、どんどん引き込まれてノンストップで観終わってしまった。

近い将来、数十年ぶりに一人目の戦死者となる自衛官〝兵士A〟を七尾旅人が演じる、オペラのようなコンセプチュアルなライヴ。
ギターの弾き語りにはじまり、ポエトリーリーディング、サンプラーを使ったノイズミュージック、エレクトロニカ、ジャズ、
ゲストプレイヤー梅津和時とのインプロヴィゼーションなどなど、あらゆる音楽と歌によって過去・現在・未来を縦横無尽に行き来しながら綴られるのは、100年に及ぶ人間たちの物語。

〝兵士A〟とは殺戮者であり、戦死者でもある。
〝兵士A〟とは誰かの友達であり、誰かの弟であり、誰かの恋人であり、誰かの子である。
〝兵士A〟とは自分自身のことである。
誰が、いつ、どこで〝兵士A〟になるかわからない。いま、我々のいる現実はそういうことだ。

時に穏やかに、時に鬼気迫る表情で音を奏でる七尾旅人の姿は、まさに先の見えない〝いま〟という時代をもがく我々人間の生身の姿を見せられたよう。
一度きりのライヴの上、準備期間も満足にとれなかったもよう。さらに体調も良くないらしく歌の途中で咳き込んだり、機材トラブルに苛立つ姿も隠さない。
最後の最後にわずかな希望が歌われるが、この暗澹たる現実を前に希望など歌ってもよいのだろうかという葛藤さえ感じさせる。
そんな全身全霊のステージを固唾をのんで見守るオーディエンス。会場の張り詰めた緊張感さえも映像から伝わってくる。

「我々は〝戦前〟を生きている」という言葉に愕然としてしまった。
〝兵士A〟になる日はもうそこまで迫っている。
undo

undoの感想・評価

3.9
誰も知らない ほんとは知らない

今から約1年前の2015年11月19日に東京・WWWにて行われた七尾旅人のワンマンライブ「WWW 5th Anniversary 特殊ワンマン『兵士A』」のライヴ映像作品。
七尾旅人の舞台挨拶つき特別上映にて鑑賞。

ほぼ新曲のみで構成された約3時間に及ぶコンセプト・ライヴ。
彼が扮するのは近い将来、数十年ぶりに1人目の戦死者となる自衛官または日本国軍兵士のAくん。

ラジオの大音量ノイズから始まる怒涛の全23曲。
ギターの弾き語りを基軸に、エレクトロニカぽいものまで。「Fly Me to the Moon」「赤とんぼ」のカヴァーも。ジャンル分けに意味がないと感じるほどの独自の音世界。
そして、その音世界にさらなる深みを与えていたのはゲストミュージシャンの梅津和時が奏でるサックスとクラリネット。さすがの音。

近い将来の戦死者であるAくんのこと、無人攻撃機、少年兵など容易に戦争や虐殺を連想させるテーマをもった曲たち。

その、ひたすらにメッセージ性の強い曲たちは「圏内の歌」なんかと近いものがあるけれど、それでも一般的に知られる七尾旅人の音楽とはかなり違うイメージ。

さまざまに視覚的な演出も施されているけど、一番印象に残ったのは、やはり七尾旅人本人の表現力。もともと透明感のある歌声がウリの一つだと思うけど、表情やパフォーマンスが鬼気迫っている。表現者という言葉がしっくりくる。

彼はなにも武器の存在を闇雲に否定しているわけではなく、もっと想像力を働かせてほしいと願っているのではないかと感じた。実際に日本から戦死者が再び出た時、私たちは何を感じるのだろうか。
最後の曲「誰も知らない」に祈りの心を感じた。


ここは火事だから 残らないよという
爆弾が降り注ぎ 止まらないのという
かなしい世界は 終わらないのという
もしも願っても 変わらないよという
だけど 誰も知らない ほんとは知らない


昨日から微妙な題材のレビューが続きましたが、私自身は右でも左でもないです。

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