うにたべたい

妖怪百物語のうにたべたいのレビュー・感想・評価

妖怪百物語(1968年製作の映画)
4.0
"大映の妖怪三部作"最初の作品。
当時、"ゲゲゲの鬼太郎"の影響により妖怪ブームが起きていて、その流れで作られた妖怪映画です。
本作のクレジットには水木しげるは含まれていませんが、妖怪デザインには水木しげる氏の妖怪画が参考にされており、終盤には大勢の妖怪が群雄割拠します。
"大映の妖怪三部作"といえば"妖怪大戦争"が有名ですが、私的には断然こっちの方が面白かったです。
人々を騙し悪どい商売をする豪商が、余興で行った百物語の終わりに憑き物落としの呪いをしなかったことで祟りにあうという勧善懲悪もので、ストーリー展開は分かりやすくテンポも良い良作でした。
上映当時も子供たちを中心に評判が良かったそうで、2作目、3作目が作られることになります。

子供向けに作られた映画ですが、子供は主役に据えておらず、大人でも十分楽しめる内容でした。
江戸時代、貧乏長屋の家主「甚兵衛」に貸した借金の方として、豪商の「但馬屋」は権力者も巻き込んで一方的に長屋を取り壊そうとする。
それに反対する長屋の住人の訴えを退け、取り壊しを強行しようとするばかりか、借金のカタに甚兵衛の娘を要求する。
そんな折、丹波屋は権力者との会合の余興に百物語を執り行うのですが、その後の呪いを行わなかったことにより、次々と奇妙な出来事が怒るという展開です。

ろくろ首、から傘お化け、のっぺらぼう、おいてけ堀、大首などのお化けが大活躍します。
悪行の報いとして妖怪が襲いかかるのでは無く、百物語の呪いを怠ったので、というのが気にかかりましたが、それを含めてもとても面白かったです。
特に大首のシーンはぎょっとしますね。
怯えた悪人が空を見上げると、画面いっぱいの巨大な顔があるシーンは圧巻でした。
それ以外にも多くの妖怪が百鬼夜行するのですが、メイン妖怪以外は妖怪大戦争と同じでどれがどの妖怪か分からないような、あまり凝った特撮になっていないのは残念な点です。
ぬらりひょん、油すまし、泥田坊は良かったのですが、カッパの着ぐるみが雑で、それこそ鬼太郎のように色んな妖怪が個性的に暴れるような作りなら良かったのにと思いました。

ただ、それでもわかりやすくて見やすい、名作だと思います。
個人的には、妖怪大戦争よりおすすめです。