おばけつ

禅と骨のおばけつのレビュー・感想・評価

禅と骨(2016年製作の映画)
4.0
2021/10/23 450作目
「ヨコハマメリー」の中村高寛監督が、日系アメリカ人の禅僧、ヘンリ・ミトワの波乱に富んだ人生とその実像に迫る異色ドキュメンタリー。京都嵐山の名刹・天龍寺の禅僧ヘンリ・ミトワ。1918年、横浜でアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた彼は、1940年に単身渡米し、戦時中は敵性外国人として、日系人強制収容所で過ごした。戦後、仏教に目覚めた彼は、やがて日本に帰国すると、禅僧の道を歩むとともに、茶道や陶芸などにも造詣の深い風流人として、“青い目の文化人”と評されるようになる。ところが80歳を目前に突如、童謡『赤い靴』の映画化に情熱を燃やし、その実現に奔走していく。本作はそんなヘンリ・ミトワの晩年に密着するとともに、型破りな彼の一代記を、ウエンツ瑛士演じる青年時代の再現ドラマを織り交ぜ描き出していく。

曰く、風流人、曰く、愛情ある独裁者ヘンリ・ミトワの人生を描いたドキュメンタリー。
前半は、幾度も切り替わる当時の写真、音楽、ドラマ形式で飽きさせない構成
最初から禅僧の格好が違和感のない佇まいであった。
キュウリを股間に当てて「こんなんあったらええなぁ」、「人間最後までこれで苦労するんだガハハ」と笑う姿に酔狂な人だなぁと。
一方、テクスチャーの凝った茶の湯クォータリーの監修を行い、茶道の国際化に貢献した国宝的顔も覗かせる。
中盤は、日本、米国で過ごした半生を描く。これがまた伝聞の史実、資料の事実に基づいて話していて良い。
ジャップ狩り許可証(日本人排斥よかれの思想)やマンザナー強制収容所をはじめとした各収容所の話、忠誠登録(アメリカへの忠誠を誓い、日本国天皇を否定するか)など非常にためになる話もあった。
後半は一転、ヘンリミトワの人間臭い面や陰った面に意図的にフォーカスを当てているような構成。
周囲からの印象と肉親からの印象がかけ離れているように思える。
曰く、風流人。誇り高き禅僧。国宝。
曰く、愛情ある独裁者。身勝手。狂人。
口の悪い静さんに心を打たれたが、少なくとも最後の映像はヘンリミトワの静さんへの愛があることを証明していたのではないかと思えてならない。

以下メモ
仙崎如幻…アメリカに仏教を伝えた
お経を読めるのがお坊さんではない、自分の気持ちを伝えることのできる人なのだ
動天、ジャケットかっこいい
赤い靴のモデル岩崎キミ、結核、宣教師に連れられた、外国に行ってはおらず(拉致ではない)、9歳で死去、その時の名前は佐野キミ
 五
矢口隹
 足