猫脳髄

猛獣大脱走の猫脳髄のレビュー・感想・評価

猛獣大脱走(1983年製作の映画)
3.4
ヤコペッティと組んでモキュメンタリ―「残酷シリーズ」を撮ってきたフランコ・E・プロスぺリの劇映画。と言っても、劇映画の体裁をとってはいるが、製作側が見せたいのはあくまで狂乱した動物たちの暴れぶりと人間を襲撃する残酷シーンで、ドラマなんてのは二の次、立派なエクスプロイテーション映画なのである。

フランクフルトの動物園で大量の猛獣たちが脱走し、飼育員たちを血祭りにあげて夜の市街地に飛び出してしまう。街がパニックで騒然となるなか、主人公たちは猛獣たちを追跡し、原因を解明すようとする…という筋書き。

薬物に汚染された水の摂取が狂暴化の原因なのだが、子どもたちがそれを口にしてしまうのは恐ろしいものの、ドラマ面での盛り上がりはそのくらい。最大の見どころは、残酷シリーズで鳴らしただけあって、やはり猛獣たちの暴れぶりである。CGI全盛の現代からみると、動物虐待すれすれ(と言うか、明らかにアウトのシーンが散見される)であっても、生体をたっぷり使った演出は貴重(※)だし、やはり血の通った生なましさがある。さらに、猛獣に食いつかれた人間たちが血みどろで死んでいくさまもよい。

※市街地で車を追跡するチーターや空港になだれ込むゾウ軍団、地下鉄や学校に乗り込んでくるトラにシロクマと、一部セット&模型撮影であることを鑑みても、当時の撮影技量の高さが伺える
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