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まともな男のmのレビュー・感想・評価

まともな男(2015年製作の映画)
4.0
正しい生き方とは?
まともと異常の境は?
ラストの涙に胸を締め付けられる作品。

このジャケット本当に最高だよね。
この疲弊した主人公の顔。
そしてタイトルよ。
もろ好みだわ、と思って鑑賞。
人間の感情って難しいよね、と観終わって浸ってしまった。

ストーリーはトーマスという中年会社員が嘘をつき最終的に取り返しのつかないことをしてしまう、というもの。
タイトル『まともな男』観る前は、皮肉かと思ったんだけど、トーマスは本当にまともだった。
まとも過ぎて不器用過ぎた。

その場を収めることしか考えられなくて、優しすぎるくらいに優しい。
頭が足りない、という言葉で表現出来てしまうんだけど、でも「こいつ馬鹿だろ」と言えないなにかがある。
そのなにかは、私たちにもそうやって良く見られたかったり有耶無耶にしたかったりする心理があるからだと思う。
取り繕う場面が無い人間なんていないだろう。

トーマスは本当に優しい。
自身の事しか考えていないシーンもあるものの、しっかり守るべき対象許されるべきではない対象の区別は知っていた。
お酒を我慢するシーンが凄く良い。
トーマスを演じられた、デーヴィト・シュトリーゾフさんの演技力も最高。

優しさと凶暴さの境ってどこなんだろうか。
他人事では無いのが一番怖い。

ラストが後味がいい。
これは私にとってだからなんだけど、ひとりようやく感情を吐露したトーマス。
背中を丸め、勢いよく泣いている姿。
彼は確かにまともな男なんだなぁ、皮肉だなぁ、と感じてしまった。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆
メッセージ性 : ★★★☆☆
感情移入・共感 : ★★★☆☆

cc/小さな嘘は、やがて狂気に。
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