櫻子の勝手にシネマ

五日物語 3つの王国と3人の女の櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

4.8
3つの王国を舞台に、自らの欲望で堕ちていく女たちの恐ろしい物語。
元ネタは17世紀に生み出された世界最初のおとぎ話『ペンタメローネ 五日物語』だ。
幻想的な映像美で描き出す、大人のファンタジードラマに仕上がっている。

物語の登場人物は全員かなりの曲者。
だけど何故か憎めない。
豪華絢爛な衣裳を身にまとい、美しい城に住む我儘で傲慢な貴族たち。
それらと絡み合って登場してくる怪物たちの存在。
物語に登場する女たちはみな何らかの欲望を抱えている。
”子供がほしい、母親になりたい”
”若さと美しさが欲しい”
”愛する人と結婚して幸せに暮らしたい”
これだけ聞くと現代の女性も少なからず持っているありきたりな願望じゃない?と思うけど。
彼女たちの場合はその“願い“が強すぎて“欲望“に変わり、やがて“自滅“する。

映像の美しさも、このドロドロとした女たちの欲望を表すための雰囲気作りに必要不可欠だ。
サルマ・ハエックが演じる女王が、真っ黒なドレスに身を包み、真っ赤な巨大な心臓に食らいつく衝撃的なシーンは見もの。
ダークファンタジー好きの私にはたまらない
映画だ。

それにしても、若い女が大好きで有名なヴァンサン・カッセルが演じる『怠惰で無能な女好きの王』の演技が演技に見えなくなってきたのは私だけ?(笑)