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五日物語 3つの王国と3人の女の708のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

これはかなり面白くて、自分的にはツボでした。画も美しい。大好きです。

グリム兄弟に大きな影響を与えたという、17世紀にイタリアで書かれた民話集「ペンタメローネ 五日物語」を映像化。かなりグロテスクで血生臭いファンタジーです。

子供が生まれないことを嘆くロングトリレス国の王妃。

ストロングクリフ国の王に見初められて、
若返りや美貌を手に入れることを望んだ老婆ドーラ。

大人の世界に憧れて、
婚約者を父王に探すよう頼むハイヒルズ国の王女。

この3人にまつわるそれぞれの物語が同時に進んでいくのですが、全員エゴが強く欲深いため、大事なものが見えなくなっていき、結果的にそれなりの大きな対価を払う羽目になるのです。彼女たちの周りにいる男たちも、自分のことしか考えてなくてエゴが強いので、彼女たちの人生を狂わせる要因になっています。

溺愛する行方不明の息子を見つけ出すことと引き換えに、ドラゴンに姿を変えられた挙げ句の果てに、その息子に殺されてしまったロングトリレスの王妃。幸せの絶頂の中、魔法が解けて老婆に戻ってしまったドーラ。それぞれに代償を払った果てに悲劇的な終わりを迎える中、鬼と結婚させられたものの、その鬼に打ち勝って無事に帰還し、戴冠式を迎えたハイヒルズの王女だけが唯一のハッピーエンド。それって何かに頼ることなく、自ら戦ったからこそ得られたものなんだと思いました。

「欲望でも行いでも、相応の結果が伴う。凶行に及んだ欲望は、凶行でしか満たされない。そして対価が求められる」

魔術師の老人がロングトリレスの王妃に言った言葉に尽きます。教訓。
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