みやび

路面電車のみやびのレビュー・感想・評価

路面電車(1966年製作の映画)
5.0
キェシロフスキのボーイ・ミーツ・ガール

人が一瞬一瞬、その時々に選択する行動から偶然的に生まれる運命の結末。
これは運命と偶然が織りなす愛についての物語。

ひとつひとつのカットが本当に美しい。

走り出すカット
出会いのカット
見つめるカット
走り出すカット

主人公が、寝ている彼女を乗せ走り出す路面電車を追いかけるラストシーン。
目的は違うかもしれない、だが彼は偶然にも序盤のシーンで同じように路面電車を追いかけている。
行動としてはほとんど同じ、ただ目的が異なる。

たった5分という映画にしては短すぎる時間で描かれるのは、幾つもの運命と偶然。
『トリコロール赤の愛』が運命と偶然の集大成の作品だとしたら、本作は原点に位置する作品。
きっとこの先もキェシロフスキ映画の誕生を見たという感動を忘れることはできない。
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