歩く肉

輝ける青春の歩く肉のレビュー・感想・評価

輝ける青春(2003年製作の映画)
4.0
同じ親に育てられてもマッテオとニコラはまるで性格が違う兄弟だ。毎日喧嘩ばかりする両親を見て、マッテオは絶対に結婚はしないと心に決めるし、両親とどこか距離を置いている。
対してニコラは、口ではお互いを罵倒しあっても両親が本当は愛し合っていることをちゃんと見抜いている。だからこそ彼は人を愛することを躊躇わない。

人生に対する価値観が潔癖すぎるが故に、周りの人を傷つけても厭わないほど頑固で、妥協ができなく、自分自身で自らの人生を息苦しいものにしているマッテオを観てすごくもどかしくて、腹正しかった。
わたしは今までどちらかと言うとマッテオの考え方や価値観に通じる部分が多かったから、余計に他人事として見られなかった。

以前の自分は自身が抱える対人問題や不安定な気性などを全て家庭問題に帰結してそれに囚われてしまって、本気で改善する努力もせず、ただ悲観していた。でもようやく最近は、はっきりと、自分の人生をどう生きるかは、とどのつまり自分の下す選択の連続だなと心から思えるようになれた。
だから、マッテオとニコラの対照的な人生を見ていろいろ考えさせられたし、わたしにとってこの映画はとてもタイムリーで響いた。

メインテーマを聴くたんびに、切ない気持ちになるとともに、ちゃんと生きることの輝きを見落とさずに、生きていきたいと思う。
歩く肉

歩く肉