たいよーさん

はらはらなのか。のたいよーさんのレビュー・感想・評価

はらはらなのか。(2017年製作の映画)
3.4
今やうどんをシェイクし、CMにもイメージキャラクターとして起用されるようになった原菜乃華さん。そんな彼女の6年前の作品。子役上がりから1人前の女優にステップするための葛藤をミュージックに描く。上手くはないけど悪くはなかったかな。


フライヤーをずっと持ってて温めていた作品なのだが、個人的にチャラン・ポ・ランタンが出ているのもポイントが高かった。おとぎ話を音楽で引き出しつつ、舞台に上がるまでの姿を上手く引き出していたと思う。ワガママに見える思春期特有の行動も、自分の今と未来へのギャップと不安、共に戦える友の存在…上手くブレンドされていて観やすい。

ただ、ちょっとタッチが軽いというか、外野の視点で転がっていくので、ミュージカル調に変わっていくシーンに付いていくのが少し大変だった。その分、吉田凜音さんのパートが(大袈裟に言えば)シスターフッドを感じさせ、静と動の音楽で対ながら目指す所に共鳴していくのは好感。そして何より、この成長をした原菜乃華さんと、それを見出したSPOTTEDの手腕よ『無限ファンデーション』の南沙良さんといい、小規模作品で金の卵が躍動する様は、やはり熱いものがある。

主演は先述の通り、原菜乃華さん。ここ3年ほど作品を観ていても思うのが、作品の厚みを生む深い演技がとにかく秀でている。今作では、知らないから分からない感情に詰まりながらも果敢に挑む姿が描かれているが、そこを磨いた彼女の凄みを改めて感じる。また、川瀬陽太さんや松井玲奈さん、松本まりかさんといった演技派を、あえて色濃くせずに描いてるのもなかなか良い。上手く現実的にさせすぎないように現実を描いている所も上手い。


ワチャワチャしているけど、何処か地に足が離れすぎていない作風。メッセージ性をもう少し描写で観たかった気がするが、これもまた悪くないとも思う。ホント、彼女の今の活躍は素晴らしい。そして、「未来の私、何をしてるの?」との問いを自ら大きな方角へ振り上げた勇ましさに拍手を送りたい。
たいよーさん

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