多タロ

新感染 ファイナル・エクスプレスの多タロのレビュー・感想・評価

3.1
韓国ホラーのB級(?)ゾンビ映画。
仕事一辺倒で家族を顧みない投資家職の主人公をはじめ、一緒に新幹線に乗り込んだ乗客たちが同時多発的に発生したゾンビパンデミックに立ち向かったり立ち向かわなかったりというパニック作品。主演こそコン・ユなる本国の評価はわかりかねるものの、日本ではおそらくはさほどの知名度もないであろう役者だが、メインキャストの一人としてハリウッド俳優のマ・ドンソクが出演しており、力こそパワーな存在感は流石の一言。ダルマのような体系のガチムチの活躍が見たければ鑑賞が吉。


※以下ネタバレ

韓国映画などろくすぽ観たことがなかったためどういったものかとおっかなびっくりだったものの、らしいというかイメージ通りというか良くも悪くも既視感の連続展開で頭を使うことなく観ていられた。
序盤からわらわらと思わせぶりに登場する主要キャラたちが一人また一人と倒れていく様式美も、事態を無駄に複雑に掻き回すいや〜なトラブルメーカーもベタながら楽しく鑑賞できていたのだが、やはり主人公含め物理的にも画的にも助演ポジションとなるマ・ドンソクに全てを持って行かれている感が否めない。
わかりやすい対比としてゾンビが蔓延する極限状態にあっても彼は基本的に家族を含めた周囲の人命を第一に行動するのに対して、主人公はあくまで自分と娘が助かることを最優先としており、投資家としてのコネを利用してまで利己的に生き残るために立ち回るのだから、どうしても(ちょこちょこジョークや嫌味をとばす愛嬌含め)人間的な魅力は前者の方が優ってしまう。おまけに物語の転機にあたる新幹線車内での最終局面において、マ・ドンソクはそのパワーを活かして自分の身を犠牲に妊娠した奥さん含めた多くの乗客助けるべく大量のゾンビに埋もれていくのだから、もう実質こっちの方が主人公といって差し支えないほど。
クライマックスでは主人公はゾンビ化していくなかの朦朧と意識にありながら自ら身を投げて娘を守り、走馬灯の中で幸せだった家族との日々を回想する..という良い話と言えば良い話なのだが、やはりそれまでの行いによるマイナスイメージが強く、いまいち感情移入が難しかった。
終盤ゾンビ化したマ・ドンソクが主人公たちの前に敵として現れ立ちはだかってくれるのではないかと想像していたのは自分だけだろうか。
多タロ

多タロ