MikiMickle

新感染 ファイナル・エクスプレスのMikiMickleのレビュー・感想・評価

3.8
監督はアニメーション作家のヨン・サンホ
原題は「釜山行き」というシンプルなものなのに、この邦題はちょっとな


証券会社で働くソグは仕事人間過ぎて全く家庭を顧みない男。しかし、誕生日に別居中の母の元に行きたいという一人娘スアンのたっての希望を叶える為に、渋々釜山行きの特急に付き添う事に。
しかし、1人のゾンビ感染女性が乗り合わせ、電車内は阿鼻叫喚の世界に……
そして、電車の外もまた、パンデミックにおかされていた…


短時間で端的に細かな状況を説明する事により、スピーディーに人物像がわかる所がモヤモヤしない。すぐに感染がメインになる所がよい。

ゾンビタイプ
・早い
・即感染する(正直な所、即感染の流れの中で、そうではない人もいたりするのが若干モヤッとする。)
・匂いや音ではなく、視覚として対象者を判別する。
細かな事はネタバレ故に自粛♪


さて、ゾンビ映画で1番大事な事のひとつは人間関係である。
この映画は、まずそこが非常に上手い。
悪と善をわかりやすく提示し、前述したようにスピーディーに人物像を紹介したあとで、同じ様にスピーディーにその個性がわかっていく。
そしてその中で、常に誰かに感情移入させる。“助かって欲しい‼”と願う人が多いのだ。
とにかく、「助かって‼助かって‼」と切に願う。


ムロツヨシ似のいかついデブさんとその妊婦の奥さんが好きすぎて‼
マ・ドンソク演じるサンファさん‼ パツンパツンの青いジャケットにストール(笑) 脱いだらムッキムキ‼ ソグの人道的でない行動に対してもそれを許し、共に戦うのです‼ 愛する者を救う為に‼ 素手でバッシバシゾンビをやっつけていく姿に「漢(おとこ)」を感じたね〜♪ 兄さんっ‼着いていきますっ‼

主人公のソグは、ゾンビとの戦いの中で、ムロ夫妻の優しさと娘への愛に気づき、自分の事しか考えないクソ男から立派な男へと変貌していく。娘を守る父の姿………泣けます……
フアンちゃんの、純粋な優しい気持ちと正義感も良かった……

また、悪役のヨンソクの一貫とした悪役っぷりも素晴らしく。

「大規模なデモ」と言い張る報道や、金儲け主義、排他主義などの政治批判や非人道批判や、集団的恐怖も感じた。特に、自己中心的な考え方に対する警鐘でもあった。

ゾンビラバーとしては、ゾンビというものが単なるモンスターでしかなかった事が少々残念ではある。丁寧に人間を描いていたので、もう少しゾンビにも愛を………と思うのはワガママですね、多分……(笑)

人間関係に重きを置き、きちんとエンターテインメントとして飽きさせず、ハラハラさせ。逃げ場のない電車という密室空間の中でどうやって生き残るのか、どうやって愛する者を助けるのか…… 王道ではあるものの、近年の大作ゾンビ映画ではかなりの良作だと思う♪
MikiMickle

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