ダイナ

新感染 ファイナル・エクスプレスのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

予想以上に面白かった。不覚にも感動してしまいました。邦題のダジャレのようなダサさが期待値を下げてくれたからかもしれない。(かといって原題の「釜山行き」だと誰も興味惹かれないよな・・・・)

列車に紛れ込んでしまった感染者を皮切りに恐怖が蔓延していく車内。国内はすでにゾンビだらけという情報に愕然とするも、乗客達は手を取り合い安全が確保されているという釜山を目指しあがき続ける。

本編の大部分が列車内という密室で、ゾンビと攻防しているわけですがこれが面白い。鍵付きトイレでやり過ごしたり、スマホの音楽で誘導したり、座席上の荷物棚を利用してゾンビだらけの車両を通過したりと、狭い空間だろうと関係なくスリルあるシーンを映している。印象に残ったシーンをいくつか書いておきます。終盤、線路に降りた主人公一行が暴走列車の衝突に巻き込まれて、ゾンビが今にもこっちに倒れてきそうな列車の中でガラスを叩いてるシーン。ゾンビの動物園があったらこんな感じなんすかね、最高なシチュエーションだ。その後、列車の後ろにゾンビが次々しがみついてわらわらと引き摺られていくシーン。汚い千羽鶴みたいで逆に綺麗だ。「列車」だからこそできるシーンがてんこもりに観られて満足。クライマックス、生まれたばかりのスアンを抱いているところを回想しながら倒れる主人公を影で映してたのも印象に残ったシーンの一つ。

自己中心的な人がたくさん出てくる本作ではあるが、「自分が映画のキャラだったら・・・」って考えるとどうも完全否定できないような気がする。例えば、新幹線の乗客が後続車両から命からがら来た主人公達を連結部に追いやるシーン。早くドア開けてやればおっちゃん助かったのに!とムカつきたくもなるが、乗客側の視点に立つと、確かにゾンビだらけの車両から来た特に親交もない人達を同じ空間に受け入れてしまうのは怖いと思う気持ちも分からんでもない。その乗客の醜さに嫌気がさしてゾンビを招き入れてしまった老女に関してもそうだ。一緒だった家族が目の前でゾンビになっていて、ゾンビにさせた元凶の人間達が後ろでまだ言い争っていると来たら嫌気がさしてドア開けてしまうのも同情できてしまう。自分の命が掛かった状況に置かれた際、他人に気遣うことができるか?即答できない自分がいる。

主人公と妊婦の旦那と野球少年が覚悟を決めて上着脱いでガムテープ巻くシーンは熱いっす。家族・彼女に絶対会ってやんよの男達はかっこいいですね。バット殴りで結構ごり押して進んでたのはゾンビ相手には悪手じゃね?と思えましたが、この作品における感染者は殴打系物理で割とひるむらしいので大丈夫!

ラストも良かったです。射殺エンド普通にあると思ってましたよ。スアンが歌って人間であることを証明して助かった。これは序盤で歌うことができなかったスアンと対照的ですよね。恐怖を紛らわせるために歌ってたんだろうけど、父親の歌わなきゃだめだってしつけが暗に効いていますね。全体的に見たらビターエンドかもしれないけど個人的には最高の終わり方でした。
ダイナ

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