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ダゲール街の人々のcrnのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
4.0
街の個人商店からそこで働く人々へ、人々の仕事から頭の中や歴史へと、焦点を移しながら進む80分の濃いこと。マジックショーというハレの要素を絡めつつ、この時代のダゲール街のケをじっくりと見せられる。ドキュメンタリーの定義は難しいけれど、この作品は構成を含め手が入っている度合いが高く、ヴァルダの意思が強く出ていた。

そして、50年程を経て観ると別の視点が加わってさらに楽しい。買い物が人と人との間で行われていたり、食べ物についての衛生概念が違っていたり。寡黙な老婆が、認知やうつといった言葉で括られずに、人々の交わりの中にいる様子だけが捉えられていたのも印象的。どちらの時代が幸せかなんて問いは、きっと不適切だろう。
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