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ダゲール街の人々のfleurのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
4.9
Daguerréotypeは世界初の実用的な写真撮影技法。その発明者ダゲールの名のついた14区のダゲール通りに住む人々。ありふれた日常の何気ない場面を切り取るヴァルダの視線から彼女の住み慣れたこの街への親愛が伝わる。アニエスからこの街へのラブレターのようなドキュメンタリーだと思った。華やかではないけれど素朴で愛おしい街の暮らし。それぞれの故郷からパリへ上京してきてこの通りに腰を下ろした人たち。それぞれのバックグラウンドを経て交わる人たちがおもしろかった。お肉屋さんの手際が良くて観ていて爽快。
ヴァルダが亡くなったとき、亡くなるまで住んでいたこのダゲール通りのお家の近く、モンパルナス墓地まで続く道のポールに、彼女の孫の1人が彼女のチャーミングなヘアスタイルにオマージュを捧げたペイントを施した。彼女がいかに周りの人に愛され、この街に愛され、そしてこの街を愛していたか。その断片が垣間見える映画。
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