けーはち

ダゲール街の人々のけーはちのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
3.5
監督が自身の住む下町ダゲール通りの人々の生活を映すドキュメンタリー。シャレオツなパリのイメージとは程遠く細々とした個人商店が雑然と並び地方出身者も沢山。手品師がマジックを披露するシーンと、住人たちのパートナーとの馴れ初めや夢の語りが重なるシーンは、平凡な人生にも夢幻のような瞬間があるのを雄弁に表している。と思えば無口なお婆ちゃんが最初に出てきて語ろうとは一向にしない姿は変に印象的。ヌーヴェル・ヴァーグは男性監督主導で観念的で小難しく洒落れたイメージだが、こういう訥々とした市井の人の小ぢんまりとした生活感をあえて前に出すのはある種の反抗意識なのだろう。