豚肉丸

Home Movie(原題)の豚肉丸のレビュー・感想・評価

Home Movie(原題)(2007年製作の映画)
4.5
異常性のある子供二人の治療過程を記録するために家族の日常をビデオカメラで記録するお話

予想以上に最悪で良い。70分程度とかなりコンパクトなPOVホラーにしてはしっかり面白く、しかも予想以上に怖い。日常を記録する系のPOVホラーは映像と物語にあまり動きがないため大体どこかしらでダレるものの、本作は一つ一つの映像がストーリーを進行させていることを感じさせ、しかも最悪な方向に直進し続けるだけの映画だからダレることもなく、起きないで欲しいことがずっと起き続けるので気持ち的にもかなり不快で良い。

父親が神父で母親が精神科医。その二人の元に産まれてきた子供二人には暴力的な異常性が宿っており、野球の最中に石を投げつけたり日常的に動物を殺したりなど、そのような形で異常性が現れる。そして共通して見られるのは徹底的な神への反抗と冒涜。主人公である父親はビデオカメラを回しながら家族の平和な日常を撮影するのだが、このような暴力が突然日常の中に入り込んでくる瞬間がとにかく恐ろしい。最初は悪趣味なイタズラレベルで済んでいた行動も徐々に過激な方向に走り出す..

聖書の引用と神への信仰、そして精神医療を度々挿入しながらも、それらは全て子供によってぶち壊される。「子供」という掴みどころのない不思議な恐怖を抱えた存在を露悪的に描き出すことで、子供の不思議な恐ろしさを描くことに成功しているが、同時にPOVホラーの自己言及にもなっているのも良かった。撮影する/撮影される関係の対称性と暴力性...

あまり話題にはされないものの、POVホラーの中ではかなり良くできた映画。想像以上の最悪と胸糞悪さを見せる終盤の展開も良く、なかなか面白かった!
豚肉丸

豚肉丸