tetsu

Girl Asleep(原題)のtetsuのレビュー・感想・評価

Girl Asleep(原題)(2015年製作の映画)
4.7
京都みなみ会館の"ルーキー映画祭"にて観賞。

新しい学校にやってきた転校生・グレタ。環境の変化に馴染めない彼女は同じ不安を抱えた少年・エリオットと出会い、行動を共にすることになる。
数日後、グレタの誕生日パーティーが開かれることになるが、彼女はそこで摩訶不思議な体験をすることになって...。

日本版のタイトルをつけるとしたら、『眠れ"ぬ"森の美女』とでも言うべきでしょうか。
ティーンエイジャーの主人公が心の中の葛藤を通して成長していく様が、キュートかつ不気味に描かれた傑作でした!
(実際に原案となった舞台版製作の際、最初に参考にした作品は『眠れる森の美女』だったらしい。)

ウェスアンダーソン的世界観だった物語が、中盤のある出来事を境に一気にダークファンタジー路線へ進んでいく意外性。

一人の少女が大人として自立しようとする中で、これまで善だと考えていた両親へのまなざしが変わってきたり、
自分に好意を持つ男子に対して複雑な感情を抱いたり、
悩みの数々が個人的にも共感する内容で、題材や元々舞台だったという点からも、お気に入りの日本映画『はらはらなのか。』に通ずる点が多い作品だったため、かなり好きでした。

また、オープニングの固定カメラ長回しシーンや、劇中の装飾として登場する日付のテロップなど、舞台の映画化ならではのアイデアも多く、中盤に訪れるダンスシーンは最高すぎて、終始、笑みが止まりませんでした。

昨今の映画であれば、
幼少期の自分との交流を通し、大切なものを見いだすという点で、『ロケットマン』にも通ずる本作。
上映は9/9の夜にも、もう一度あるそうなので、時間がある方は、ぜひ観てほしい一作です。
tetsu

tetsu