ねこねここねこ

スプリットのねこねここねこのネタバレレビュー・内容・結末

スプリット(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

アンブレイカブルとスプリット、ミスターガラスで3部作ということで、観た作品。
ジェームズ・マカヴォイが24もの人格を持つケヴィンという役を見事に演じ切っている。

高校生のケイシーはクラスで少し浮いた存在。クラスメイトの誕生パーティーに来ても所在なさげ。
帰路はクラスメイト2人とともにクラスメイトの父親の車で送ってもらうはずが、見知らぬ男が急に車に乗り込んで来て、催眠スプレーをかけられ誘拐されてしまう。
どうやら何かのエサにするために誘拐されたよう。監禁された部屋に来る度に様子が異なる誘拐犯の男。ケイシーは彼がDID(俗に言う多重人格)なのではないかと気づき、その中の1人ヘドウィグを利用して脱出を試みるが失敗。

一方たくさんの人格を束ねる人格バリーと向き合い治療をしている精神科医のフレッチャー。肉体の持主であるケヴィンは母親からのひどい虐待でDIDとなったよう。ケヴィンの中で人格交代するパトリシアという女性人格やデニスという神経質な男性人格、ヘドウィグという子供人格など。

時折ケイシーの子供の頃の映像が流れる。実の叔父に性的虐待を受けており、不幸なことに父親が亡くなりこの叔父に育てられている。

女医のもとを訪れるシーンと監禁場所、過去の回想シーンが交差して描かれ、徐々に進んでいく。
途中、この人は踏み込みすぎて殺されるんじゃないかとハラハラして観てたフレッチャー医師は、やはりビーストに殺されてしまった。

よくある虐待を受けたせいで人格が解離してしまう話だけど、1人の人間の肉体の中で何人もが生活し、皆が椅子に座って「照明」というものが当たらないと出て来られないとか、人格同士の関係性、人格同士の会話などが描写されてるのは興味深い。
また最後に歯ブラシが人数分あったり、それぞれがパソコンの中に日記がわりにメッセージを入れてたり、この辺りの描写は丁寧に作られてるなと感心。

しかしなぜビーストが登場しないといけないのかはよくわからない。超越した存在として登場するようだが、ビーストのために餌として殺される女子高生や、フレッチャー医師も殺されたことを知るとケヴィンは絶望し、自分を殺してくれとケイシーに頼む姿は痛々しい。また人格同士でもビーストが来るのを歓迎している「群れ」派とそうじゃない派が存在している。
まぁ短時間でそこまで深くは掘り下げるのは難しいかな。

とにかく、虐待で傷ついて自傷行為の傷痕だらけのケイシーを見たビーストは、自分がショットガンで撃たれてもケイシーを生かして去ってゆく。

とにもかくにもジェームズ・マカヴォイの演技に圧倒される。
ちょっと気取ったイギリス人女性や無邪気な子供、スキンヘッドなのに色々な人に見えてくるのが不思議。
全体的には「24人のビリー・ミリガン」を彷彿とさせる。人格の数も24人と同じで、人格の中に兄と妹がいたり、イギリス人がいたり。ビリーの24人目の人格は「Teacher」であり、統合人格であったが、映画ではビーストという最強の存在となっている。また襲った女性も3人。
もう一度「24人のビリー・ミリガン」を読んでみようかな。
あとナイト・シャマラン監督がどこに出演してるのか見逃してるので見つけるためにももう一度みるかな。