悪魔の毒々クチビル

ブラッド・パンチ タイムループの呪いの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.4
「地獄で会いましょう…あるいはまた明日かもね」

密売用の薬物精製の為リハビリ施設から拉致られた青年と拉致ったサイコ男とその彼女が、山奥でタイムループするお話。


「デビルズ・メタル」主演が一番有名であろうマイロ・コーソーンが、それよりもちょっと前に主演していた作品です。

最早大して珍しくもないループ系ですが、今作はちょこっと捻った設定があるお陰で中々見応えがありました。
今作でも例に漏れず毎回同じ火曜日を過ごしますが、何もかもがリセットされる訳ではないです。その一つが死体。
事態を解決する為に早い段階で、ヒロインのスカイラーがサイコ彼氏を裏切って殺して主人公であるミルトンと共にループの謎を解明しようとしますが、日にちがリセットされて彼氏が復活しても外に埋めた死体はそのままという奇妙な現象が起きます。
正直合理的な説明とかはなく、「取り敢えずそう言うこと」なんだと適当に納得した方が良い設定ですが、これを活かして彼氏を拷問する時に「お前みたいなヒョロガリに出来ねぇだろ」とか言われてミルトンが「いやー、最初は大変だったんだよ」って過去に拷問した死体一覧を見せ付けるシーンが一番良かったです。

他にもリセットされるものとされないものがあって、そもそもオープニングの時点でループ系だとしたら何か違和感のある始まり方なのも納得行く形になっていて思いの外見入ってしまいました。

ただ折角毎朝サイコ君を二人でルーティン的に殺していくのに、ゴアな描写が皆無だったのは非常に残念でした。
銃は勿論、レーザーポインター付きのボウガンとか斧とかナイフとかバリエーション豊かな凶器があったにも関わらず、予算の都合か元々そういう作風を目指していなかったのか適当にダイジェストで済ませていたのはマジで勿体なかったですね。

あとミルトンがスカイラーに惚れるって流れ自体は分かるんだけど、彼女にそんな命を懸ける程の魅力を感じなかったです。
まぁスカイラーの生い立ちを考えると、ああいう人間にはなるだろうなって理解は出来ますし、そんな彼女の心を最後の方で動かす事も出来た訳だけど。
ルックスも何か地味だなとか思っていましたが、どうやらスカイラー役のオリヴィア・テネット、マイロ・コーソーンの奥さんで当時新婚ホヤホヤだったようでそれはすまんかった。数年後に離婚しちゃうけど。
結婚したてで奥さんが他人とキスしまくるのを端で複雑な表情で見守る役やっていたんだね、そりゃあんな顔になるよね。

設定は面白かったのにそれを活かしきれる内容じゃなかったのが惜しい作品でした。
ラストも皮肉ではあるけど、多分前よりはアッサリ抜け出せると思うよ。