こたつむり

ハングマンのこたつむりのレビュー・感想・評価

ハングマン(2015年製作の映画)
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♪ 天井裏から愛を込めて 大好き 大好き
  天井裏から愛を込めて 大好き 大好き

これはマジでヤヴァイ案件です。
何しろ、製作者の意図が見えません。
鳥肌が立つほどのフェチズムを描きたいのか、世の中には避けようもない不幸があることを描きたいのか。判断ができません。いやぁ。これは怖い。

思い返せば、日本にも変態さんは居ました。
天井裏から覗くなんて序の口、ベッドの下に潜り込むとか、椅子の中に入って体温が伝わるのをゼハゼハ愉しむとか。猛者ですね。でも、アメリカとは何かが違うのです。

そう。日本の変態さんは叙情があると言うか。
文学的と言うか、侘び寂びがあると言うか。

いや、弁護をするつもりはありません。
多かれ少なかれ、誰もがフェチズムを持っていますが、度を越せば迷惑。天井裏に忍び込んで家全体を窃視し、家人が留守の時に家探ししたり、歯ブラシを無断借用したり…って、そんな行為は完全に犯罪です。

これはね。精神的グロテスクですよ。
断面描写や肉片が飛び散る場面だけがグロテスクではないのです。本作はまさに猟奇。ゲスの中のゲスと自称する僕が気持ち悪さで餌付くくらいですからね。“吐き気を催す邪悪”とはコレですよ。

それに被害者側に落ち度がないのがイヤな話。
構成は普遍的な四人家族(夫、妻、娘、息子)。子供が思春期に突入したことで多少の問題は抱えていますが、両親が穏やかだから子供たちも穏やか。まさに子供は親の鏡と言えるような理想的な一家なのです。

そんな家庭が狙われるのですからね…。
あー。厭な気分です。製作者は普通の幸せを妬んでいるのでしょうか…。

まあ、そんなわけで。
点数評価ができない問題作。
本作に限って言えば、鑑賞と後悔は同義。好奇心で覗くことはオススメしません。

また、他人の家に忍び込みたいと思う方は。
是非とも本作を鑑賞し、その欲望が満たされることを祈念いたします。少なくとも、実行に移すのは勘弁してください。我が家はウサギ小屋なんで、他人がこっそり暮らす…なんて無理ですけど。
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