ダイナ

ゴールド/金塊の行方のダイナのレビュー・感想・評価

ゴールド/金塊の行方(2016年製作の映画)
3.8
1980年代の金塊採掘シーンを背景とした詐欺事件をブロマンスにコメディに不穏なサスペンスでまとめ上げた一作。密林の湿度やら泥やら土臭い画面に汗臭さが漂ってくるような金塊採掘の場面、ブリーフで頭皮の薄いおっさんが髭を蓄えたおっさんと抱き合うという地獄みたいな絵面にも関わらず胸を打つのは彼ら主役2人がここまで歩んできた道程の凸凹しんどすぎという過程が丁寧に描写されているゆえ。全体通してマシュー・マコノヒーは哀愁を醸し出すのが上手すぎ!マネーに群がるパワーがゲームしてバランスがひっくり返ってライアーばっかな業界でトゥギャザーしようぜなアメリカンドリームの道を進んでいく展開は大味ながら面白いです。仕事相手に気に入られるための度胸試しの下りはイカれてて見どころの一つ。

起承転結の転の部分でしょうもないことが起きるわけです。ポスターのコピーにあるように「170億ドルの金塊が一晩で消える」わけですが、この展開明らかになっていくとため息をつくほど呆れてしまう内容。こんなふざけた展開お子ちゃまが適当に脚本書いたのか…え、実話?ということで本作の面白い所は呆れてしまうほどのふざけた落下模様が「本当にあった事件」をベースにした映画であること。もちろん幾分か脚色はされつつも大枠は現実にあったことを映しており、スケールの大きさとなんでそんな事になる?という呆れ具合には適切な言葉が見つかりません。実際の事件の真相の深部は霧の中、本作には監督の願望とも思える「脚色」があるのですが個人的にはその要素こそが本作の良さだと思います。真実を追求するのは金を掘り起こすように難しいんでしょうね。イギー・ポップが本作のために書き下ろした主題歌「GOLD」余韻の渋さに拍車をかけていて堪らない!
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