エイデン

ソウル・ステーション パンデミックのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

韓国、ソウル
ソウル駅前に1人の老人が首から血を流して歩いていた
周囲の人々も助けの声を掛けようとするが、老人がホームレスだとわかると、途端に態度を変えて無視を決め込むのだった
日も暮れた頃、駅の隅に倒れた老人はいよいよ危篤状態となってしまう
それを発見したホームレスの1人は、救援シェルターに助けを求める
しかし居場所を取られたくないシェルターのホームレスに追い返されてしまう
そのまま駅の警備員や助けを求めるも、逆に罵られる始末
何とか薬局で鎮痛剤を手にし、駅へとんぼ返りしたホームレスだったが、時既に遅く老人は息を引き取る
人々のぞんざいな対応が招いた悲劇に涙を流しながら、ホームレスは警備員を連れて老人の遺体を処理してもらおうとするが、元の場所に戻った時には何故か老人の死体は消えていた
一方 元風俗嬢のヘソンは、彼氏のキウンとひもじい日々を送っていた
部屋代も用意できないことに困ったキウンは、ヘソンの写真を勝手に使って売春サイトに投稿
それを見かけたヘソンは怒りをぶつけるが、逆上したキウンは好き勝手に彼女を罵り去っていく
そのすぐ後、売春サイトの投稿に反応があり、金欲しさに会いに行ったキウンだったが、そこにいたのは家出したヘソンを探している父だというソッギウだった
ソッギウはキウンに掴みかかり、娘の居場所を教えろと迫る
それに従い、ヘソンに連絡を取ったキウンだったが、先程の態度に腹を立てていた彼女は応答せず、夜道をさまよっていた
その頃 消えた老人を探していたホームレスは、路地で人を食い殺している老人の姿を発見
完全に正気を失っている老人は、ホームレスに襲い掛かる
そして襲われた人々も感染、同じく狂暴化し、ソウルは一夜にして混乱に包まれていく



『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚を描くアニメ映画

企画としてはこちらが最初だったらしく、短編として企画していたものを長編化、更に実写リメイクの話が制作中にあって、ほぼ同時期の公開となった

『新感染 ファイナル・エクスプレス』にて車輌内の第1感染者を演じたシム・ウンギョンが主人公ヘソンの声優を演じているけど、ストーリー的な繋がりは無し
あくまでシリーズで描かれるパンデミックの発端が描かれる(とは言ってもウイルスの大元のバイオテクノロジー会社?のことは触れられていない)

ゾンビもののアニメーション映画という珍しいジャンルとしては上手く出来ている方だと思う
ただ実写映画版の方が波のように迫る感染者の群れとかインパクトあるカタルシスが多めかな
地味と言えば地味、とはいえパンデミックの発端を描くというストーリー上仕方ない面はあるけど、個人的にはこの手の作品は日常が崩壊していく過程が好きなので普通に楽しめた

また韓国の経済成長による格差を背景にしてる点も面白い
経済的困窮者やホームレスなど、社会的な弱者が割を食い、社会がそれを見捨てていく社会問題がパンデミックで浮き彫りになっていく
そしてそうした見捨てていった人々が感染し、社会に牙を剥く構図は皮肉としか言いようがない

ぶっちゃけ言われないとわからないくらいには『新感染 ファイナル・エクスプレス』との繋がりも薄いので、観ても観なくても良いレベル感の作品ではあるけど、丁寧に良いものを作ろうという意志も感じられる決して悪くない作品なので観ましょう
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