天豆てんまめ

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.8
タイトルと作品、マッチしてる。
2017年キネマ旬報ベストテン 邦画1位
都会の片隅でひっそりと咲く花のように、ささやかな物語がじんわり余韻を残す作品。

東京五輪2020前の建設ラッシュは既に数年前から始まっていて、工事現場の日雇いで営まれる日々。池松壮亮と松田龍平の掛け合いにユーモアと哀しみがある。田中哲司の中年の情けなさも沁みる。

池松壮亮と石橋静河。2人がいい。この2人の頼りげ無い恋の行方を応援していく。渋谷や新宿の雑踏を、昼に夜に歩き、2人の会話だけ聴いてると、ちぐはぐ感半端ないけど、2人でいると段々と孤独が和らいでいく様がいい。

全編、詩的世界と朗読的ナレーションで綴られるトーンが切なくて、心地よかった。ここまで支持されたのは、今この時代に生きているみんなの、不安の共通意識に共鳴したからだと思う。

この作品で繰り返し街中で出てくるストリートミュージシャンの女性が、頑張れ、頑張れ、と声を枯らして歌っているが、すごい下手 笑 でも作品自体がこの不安な時代をともかく生きて行こうよと応援してくれるような温かな作品だ。

あなたも私も誰もみんなも、
とにかく今日も頑張った。
ひとまず明日も頑張ろう。