えそじま

一晩中のえそじまのレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
4.3
これも時間の映画であったと思う。ブレッソンのような、パースペクティブともいえるある種の平面的な時間に対し、ここでは、前後を削ぎ落とされ、垂直に落下していく無数の愛の欠片の堆積による立体的な時間が組み立てられている。『白夜』(1971)と共通しているのは、ある都市の夏の夜の時間、それそのものが音楽的であることだ。

登場人物たちが二度か三度ほどうんざりげに「暑い」と口にしていたにも拘らず、どう見ても画面に映っている情景が涼しげな夜に見えることは特に興味深かった。そこは異空間だ。ではその入出口はどこにあるのか。もちろん扉である。
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