空きっ腹に酒

一晩中の空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

一晩中(1982年製作の映画)
-
夜に溶ける。

わたしは夜が好きなんだなあと改めて気付いた。“素敵な夜ね”なんてことのない時間を過ごす老夫婦の交わす言葉が、あまりにもロマンチックで涙が止まらなかった。誰かを待つ夜はあまりにも長すぎるし、誰かと過ごす夜はあまりにも一瞬で、嵐がきたことさえも気付かないまま朝を迎えるひともいれば、眠れずに過ごすひともいる。
ひたすらに暗い画面の中にうつるひとびと、螺旋階段を歩く足音、音楽に合わせて踊ってみたり、抱き合ったり、誰かと話す電話、誰かに向けて書かれる手紙。色んな夜があって、それぞれの朝を迎えて、ああ人生。ってわたしは思う。切り取られたそれらは、わたしたちの日常のようにも思えて、余白の中に漂う彼らの物語を想像せずにはいられなかった。
反復、は、やっぱりジャンヌディエルマンっぽい。(登場人物はたくさんだけど)ミニマルで気持ちいい。

ずっと観たかった映画をスクリーンで観れるのは、本当にしあわせなことだな。
空きっ腹に酒

空きっ腹に酒