このレビューはネタバレを含みます
一晩を過ごす人たちの断片がつなぎ合わされた物語なき物語。
飽きさせない構図、余白のありすぎる本という綱渡り的な映像の作り方で、退屈さとその余白への想像でぼんやりと時間が進む。そして映像終盤では夜が明けるのだが、映像体験としても夜が明けたかのような実感が生まれる。
『アンヌの出会い』では夜通し走る列車に乗り次の都市へ移動する進行がまさに空間移動の実感を生み出していることも思い出した。
空間、時間の経過を“退屈さ”をもって映画内に生成させているのかなという感。ゆえに初見ではシャンタル・アケルマンの映画は結局「見る」ことができていないという反省も毎回ある。が、2回目をすぐに見たいとも思わない。また次の機会、見たい。