鶴見

The Secret Lives of Dentists(原題)の鶴見のレビュー・感想・評価

2.5
この映画は町山智浩さんの2003年ベストテン第8位にランクインした作品なのだが、日本未公開・未ソフト化。調べた限りテレビ放映や配信もされた事が無い様子だったので海外版DVDを取り寄せ、字幕のgoogle翻訳と日本語訳が出ている原作本「嘆きの年」(ジェーン・スマイリー著/中央公論社)を購入・参考にして観賞した為、解釈が若干間違っている可能性有り。

ストーリーはこんな感じ。
妻・デイナと共同で歯科医院を経営している主人公のデビッド・ハーストは、三人の娘の子育てもしっかりやっている良き父親でもある。
ある日、彼の医院にめんどくさい患者・スレーターがやって来る。粗暴で口うるさい彼を何とかいなして治療を終えた数日後、彼はデイナが所属している合唱団が出演するオペラ公演の楽屋で見知らぬ男と抱き合う妻を目撃してしまう。
その後デビッドは観客席で偶然スレーターと再会。「あんたに治療してもらった詰め物が取れたぞ」と大声で怒鳴られ公衆の面前で赤っ恥をかかされる。
帰宅後も様子がおかしい妻。振り返ってみれば、最近は不自然な外出が増えたような気が。徐々に精神的に追い詰められていくデビッド。詰め物を治す為に再来院したスレーターを治療した帰りの車中で、彼の幻が現れデビッドに語り掛ける。「あんたはまるでこの家のママみたいだな」…

スレーターはデビッドにとっての「タイラー・ダーデン(理想の自分)」であり、これは彼が男性性や父権を取り戻す話、いわば「家庭版『ファイト・クラブ』」みたいな感じなのかな?と途中までは思っていたのだが、終わってみれば、人生における「嘆きの時代」(≒ミドルエイジ・クライシス)を描いた「結婚」についての映画だったんだなと感じた。
鶴見

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