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花に嵐のQTakaのレビュー・感想・評価

花に嵐(2015年製作の映画)
3.5
2020年終わりの一本で、映画らしい映画に出会った。
ストーリーなんてない。
「撮りたいから撮った」映画だった。
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手持ちカメラが走りまくる。
こういう映画は今までにも観てきた。
映画の原点のような映像が魅力的だ。
物語にストーリーはない。
有るのは展開だけ。
次に何が起こるのか。
そしてその次は…
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物語の舞台は、冒頭シーンから明らかになっている大学の映画研究会。
ただ、その舞台裏がなかなか明かされずに進む。
はたして、この映研で何が有ったのか。
そのメンバーの関係は。
そして、ビデオに映っている女性は…
という話なのだけど、なにせ、手持ちカメラ。
映像が揺れるたびに、観客の心も揺らされる。
この手持ちカメラの効果はそういう意味で大きい。
そして、ミステリアスな展開にはうってつけである。
(『ブレアウィッチ・プロジェクト』を思い出した。)
ただし、カメラを手で持てば良いという事にはならない。
終盤の夜のシーンでは、見えない恐怖を捉えるのだが、ここはなかなかの迫力で、きっちり撮られていて怖かった。
そう思うと、この映画は演出面でかなり練り込まれていたように思う。
実際、多くのシーンをあの手持ちカメラで回しているのだから、そこは十分意図的に、計画的に撮られていなければならないはずで。
見ている以上に緻密に設計されていたはずだ。
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次々と展開して行くストーリーだけど、そこにはきちんと物語が有り、カメラを手にした主人公と、そのカメラに撮られた主人公が居る。
生きているのか死んでいるのか分からない女性の姿は、とてもよかった。
映っているけど存在していないと言う感じは、うまく表現できるものなのだろうか?
その存在に気を取られていると、カメラを手にしている主人公を忘れてしまいがちだった。
それくらい、展開と、存在と、映像に翻弄された。
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スタッフロールに気になる名前が有った。
美術:枝優花
協力:小川紗良
って、あの方とあの方ですかね。
映画は、こうして作られているんだなって思った。
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#ぴあフィルムフェスティバル
#PFF2016
#DOKUSO
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