大爆笑カレー

花に嵐の大爆笑カレーのネタバレレビュー・内容・結末

花に嵐(2015年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

本作の監督は白石晃士監督の影響を多分に受けているらしく、それはこの作品を観ればなるほど納得・・・というより殆どコピーで、それも表面的な部分でのコピーばかりなのは如何なものかと思いますし、まず第一に白石晃士監督のフェイクドキュメンタリー作品の多くが「カメラマンがカメラを回している」設定で語られているのは、カメラマンなら極限のシチュエーションでもカメラを回し続けるだろうという説得力があり、「ストーリー上必要な映像」と「カメラマンのキャラクター描写」が矛盾しないからだと考えられます。
今作で言えば、主人公は映画について素人であるのにも関わらず物凄く「気の利いた」ショットが幾つもあるのは、フェイクドキュメンタリーの側面を持つ作品としてそもそも下手クソと言わざるを得ません。素人から徐々に成長したり、映像を撮ることに目覚めていくような演出もありません。何となく撮り始めてずっと取ってる変な人になってしまっています。
映画なので多少強引でも効果的なら許せます。ですが中盤のヒロインとの濡場シーンで童貞丸出しの主人公が「おっと、忘れてた^^」と言わんばかりに傍に置いてたカメラを拾うのは頂けませんし、行為のシーンを写し続けるよりカメラが変な方向を向き続けてた方が絶対エロい!!!何もわかってない!!童貞をナメるな!!!
と、ついつい視聴中熱くなってしまいました。今作についてここまで熱くなり十分楽しんでしまった訳ですが、「POVのみ」という手法はアイデア(と根性)次第で低予算でも面白い作品が産まれてしまいます。白石晃士監督も、低予算だからこそ活きるジャンルの枠を超えるような奇抜なアイデアで、観たことのない映像とストーリーを幾つも生み出しています。言うなれば映画的な物(既存のもの)への下克上のようでもあります。
そのジャンルをぶち壊す姿勢を見習うのも良いですが、今作の後半のメタ的展開はいやらし過ぎます。急に非常に作り込んだ照明や滑らかなカメラワークの映像が挟まりますが、この展開は映画的な物への迎合でしかありません。素人臭い映像とのギャップが面白いですが、結局のところ「映画的な映像のがカッコ良くて良いよね」と言ってしまっています。そんなこんなで白石晃士監督の作品が本当に好きなのか疑わしくなってくるクライマックスは、とは言え風船を使ったという空から落ちる映像はなかなかのもので、どうにか驚かせてやろうという気持ちは本物なんだと思えました。素直に感心しました。
ですがやはり、フェイクドキュメンタリーなら最後まで全部観せて欲しかったと思ってしまいますし、言い切って欲しかった。
思わせぶりなプロローグ文へ繋がらないどころか、監督の名前が読みにくいとかいうどうでも良い(心底どうでも良い)茶番がエンドロール後に流れてて、脚本撮影編集もやったんです〜(^ ^)と言われてもお前の映画もう二度と観るかという気持ちにさせられます。ですがこの若さでそれなりなモノを作ってしまえる岩切監督は実力があるのも確かでしょう。次作も観ます。楽しみにしてます。