YYamada

ドリームのYYamadaのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.7
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈有人宇宙船計画の落下位置計算〉
 ~米国「マーキュリー計画」 / 1962年
・場所: アメリカ/バージニア州
・人物: NASA黒人スタッフ

〈見処〉
①差別を超えた「隠された人物」の能力
・『ドリーム』(原題: 「Hidden Figures」=隠された人物)は、2016年に製作された、伝記映画。
・舞台は1961年、バージニア州のNASAラングレー研究所。ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行う黒人女性グループのなかで天才的な数学の才能をもつキャサリンは、宇宙特別研究本部の計算係に抜てきされるが、白人男性ばかりのオフィス環境は、キャサリンにとって決して心地よいものではなかった。
・一方、ドロシーとメアリーもそれぞれ、黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるが、それでも3人はひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなる。(eiga.comより抜粋)。
・本作は、米ソ冷戦下で劣勢にあった1962年に米国人初の地球周回軌道を影で支えた、NASAの3人の黒人女性スタッフ、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソンの知られざる物語を描いたドラマ。まさに、「隠された人物」によって、偉業が成し遂げられたことが丁寧に描かれている作品である。
・なお、NASAは、2020年6月、NASA本部は庁舎を本作にちなんで「メアリー・W・ジャクソン」へと改称する方針だと発表しているそうだ。

②時代背景について
・本作で描かれる、マーキュリー・アトラス6号の打ち上げは、ジョン・F・ケネディ大統領の20ヶ月前。
・民主党のケネディ政権が組閣された1960年から、黒人に対する公民権の適用と人種差別の解消を目指す「公民権運動」が次第に熱量が高まっていくが、本作時点では、黒人による社会進出は大きく制限されていた時代。
・本作的な、人種差別撤廃に向けた動きは、「I Have a Dream」で知られるキング牧師が演説した1963年8月28日のワシントンD.C.における「ワシントン大行進」で最高潮に達している。
・当時~現在においても、人類の宇宙進出よりも、人種差別撤廃のほうがハードルが高いのは皮肉なものである。

③結び…本作の見処は?
良作ながら、感動的とは言えない。
○: ケヴィン・コスナー扮するNASAの責任者により、差別を超え、能力を優先した人物登用は見ていて痛快。
▲: 差別描写を「トイレ施設」に頼りすぎであるが、実際のNASAでは既に撤廃済であったようだ。人種差別よりも女性の社会進出をテーマアップされるべき題材だと思う。
▲: 公開前に、本作の邦題は『ドリーム 私たちのアポロ計画』と発表されたが「マーキュリー計画を扱った作品なのに」と批判が相次ぎ、『ドリーム』となったが、原題ママでも良かったのでは…。
YYamada

YYamada