まーしー

レッド・スパローのまーしーのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
4.0
「人間の欲望はパズル。欠けたピースを埋め相手を操る。」
——相手の欲しいものを察知し、巧みに操ることで情報を入手する女性スパイ“スパロー”。その活躍を描いた骨太なサスペンス・アクション。

ヒロインのドミニカは、怪我によりトップバレリーナの地位を追われ、路頭に迷うことに。
そんな彼女が選択した次の人生が、ロシア諜報機関のスパイ。
訓練を受け才能を開花させたドミニカは、美しくも無慈悲であり、そして逞しい。
私情を挟まず、手段も選ばない彼女の姿は、一流のスパイそのもの。

そのスパイ役を演じたのがジェニファー・ローレンス。
トップバレリーナの役ということもあり、見とれるほどの美しさ。一方で、全裸シーンや拷問シーンにも体当たりで臨んでいる。
美貌の裏に隠された冷静さと冷徹さは、良い意味でアンバランスさがあり、印象に残る。
本作が、彼女の存在感と認知度を高めたことは間違いないだろう。

CIAも登場し、騙す騙されるの展開。二重スパイの話だけあって、ストーリーはそう単純ではない。
しかし、その分、裏切りや駆け引きがあり、スリルと緊張感を味わえる。また、スパイ間の枠を超え、背後に潜む米ロ国家のスケールも伺える。この辺りに見入ってしまうだけの重厚さを感じた。

派手なアクションはなくとも、ストーリーとキャストの熱演で勝負した、本格派スパイ映画と言えるだろう。