複数の女性たちのそれぞれのエピソード集。
女性たちが周囲の人と関わる中で遭う日常のささいな出来事、でも、おや？と思うようなわずかな違和感をたくみにとらえています。
8ヶ月間同じことを説明したのに、自分が言っても聞き入れられなかった事柄を、同じことを男性の専門家から言うと、なぜか、一回で受け入れられる違和感であったり。
でも、本作は、女性目線に寄りすぎず、誰が見てもちょっと違和感がある状況や、自分自身にもどこか覚えがあるようなちょこっとした罪悪感を、客観的に引き気味に描写している点に好感をもちました。
他の方も、交わるようで交わらない各登場人物のストーリーと書いていましたが、たしかにそうで、点と点では交差はしているけれども、あくまでそれぞれがそれぞれの線を歩んでいくような印象です。時折、重なって、また離れていく線同士。もしかしたら、居心地のよい人間関係って、くっついているようで、でも離れているような、本作のような関係性にこそあるのかもしれません。
