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Seytan(原題)のTnTのレビュー・感想・評価

Seytan(原題)(1974年製作の映画)
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 Q.これは、別の世界線のエクソシストか?

 A.トルコ版「エクソシスト」です。
ほぼ丸パクリかつ全てチープに変換されている。フリードキンが本編でも撮影裏でも強いたあの緊張感をゼロにすることで、かなり退屈になるんだなぁと実感。フリードキンの手腕あってだなぁと。あとはあの物語運びの焦らしもなく、唐突に「見たことある!」というような名シーンをぶっ込むので、展開もあったもんじゃないなと。

 最初は怒りもありました、まんますぎるだろと。でも色々調べると、トルコはイスラム圏なので、キリスト教礼賛映画がそもそも上映できないのだそう(出典→ http://blog.livedoor.jp/harrycallahan/archives/3175868.html )。ただ「エクソシズム」という言葉自体は劇中使われてて、それはいいんだと。

 トルコの誰かが国外で大流行りしてる「エクソシスト」を見たが、これを自国に持ち込めない悔しさを噛み締め、曲がりなりにも自分らで作ってみようと思った。そう思うと泣ける、そっちも映画化できそう。特殊効果に頼れない部分を、リーガン役に当たる子がパッションで補って頑張ってます。

 人数が足りなすぎる採掘シーン、手作りパズズ。デカすぎレントゲン写真。首回転のドヤ顔。ベッド上昇と下降のくどさ。不必要なほどのテーマ曲の反復(しかもチープ)。いやぁ、演出次第でここまでB級になるとは、キッチュで良いですね(これでもかとギューンとカメラズームするのも如何にもです)。ただ比較してナンボでオリジナリティは無いのである、単体では耐え難い。

 神も悪魔も、名前が違うだけでその対立構図が変わらないというのが、今作の存在によって証明されてしまったとは言えないだろうか。

 リーガンが催眠術師の股間を強打するシーンのオモロさだけは一見の価値あり?
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