みてべいびー

トーキング・ヘッズのみてべいびーのレビュー・感想・評価

トーキング・ヘッズ(1980年製作の映画)
4.2
歳を重ねるにつれて、「自分は何者か」という質問に職業、父や母であることを答える人が多くなるなか、現実主義者や人道主義者などと人間としてのあり方を語る人もいるのが興味深かった。政治的背景の違いも大いに関係あるだろうけど、たとえ80年代の日本で同じ質問をしてまわっても、そう答える人は少ないだろうな。そもそもこんな漠然とした深い問いに、真面目に哲学的な返しをする人もあんまりいなそう。
「まだわからない」「まだ決まってない」と答える子供と、何らかの答えをすぐに出せるようになる大人との境目はどこなんだろう。社会においてそれなりの責任を負い始めることで、自分の生き方を定められたように感じる瞬間なのか?でも本当の意味で自分が何者かを決めるのは、職業でも肩書きでも主義主張でもないんじゃないかな、と観てて思った。とはいえ自分が聞かれたら、何の迷いもなく学生だと答えるのだろう。
あと中年くらいの人たちから、民主主義を望む声が多くなるのも、この時はまだポーランドが共産主義国家だったことが厳しく反映されてるなぁと思った。自分が社会に、自分に何を望むのか、ちょっとしっかり考えてみないといけない。物質的なものが幸せをもたらすわけじゃないと語ってた少女の言う通り、地位とかそうゆうものを取っ払ったら、私が本当に欲しいものってなんなんだろう。
みんな真っ当なことを言ってて素晴らしかったけど、個人的には人間らしい人間になりたいと言った青年に深く共感した。
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