三隅炎雄

石松社員は男でござるの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

石松社員は男でござる(1961年製作の映画)
3.8
監督が飯塚増一に変わった進藤の社長シリーズ4作目。女性下着メーカーのワンマン社長進藤英太郎の娘小林千登勢が外国から帰ってきて、おむつ専門の洗濯屋を始める。監視役を任された石松社員中村嘉葎雄は、男中心の上意下達世界より仲間たちと始めた主婦のためのおむつ洗濯の世界に喜びを見出す。まだ洗濯機があまり家庭に普及していないころのお話で、夢を売るという言葉が何度も繰り返される。
最後は収まるところに収まるとはいえ、東宝「社長」シリーズもどきになったこのシリーズ自体の批評になっており、中村・小林を始め、千葉真一・今井健二・小川守ら若手が活躍する生き生きとした青春喜劇になっている。山茶花究の黒駒金融に土地を差し押さえられた洗濯屋が、浮浪者にショバ代を払って公園で仕事を再開するくだりは、1961年所得倍増計画、右肩上がりの高度経済成長にあって、今一度原風景を振り返り足元を見つめ直そうということなのだろう。公園いっぱいに干されたおむつが希望にあふれている。主婦パワーも爆発して、これはちょっと面白いプログラム・ピクチャーであった。
いつもは花沢徳衛の葬儀屋二階に下宿している中村嘉葎雄だが、今作ではアパート住まい、花沢は小林千登勢の洗濯屋に土地建物を貸す男に変わっている。
三隅炎雄

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