JAmmyWAng

オペレーション・クロマイトのJAmmyWAngのレビュー・感想・評価

3.6
朝鮮戦争におけるインチョン上陸作戦を描いた作品でありまして、『新しき世界』に続き、またもやイ・ジョンジェがスパイとして潜入させられる話。

潜入モノの肝である「バレる/バレない」のハラハラ感をドラマチックに演出するという点において、信念としての最低限の強度と、それを覆し得る程の「状況に対する疑問」から生じてくる弱さを同時に併せ持ち、そうした強弱の間で揺らぐ絶妙な表情を形作るこの人の顔は、最早天性の領域だと思うのです。
イ・ジョンジェは映画において潜入するために生まれてきたと思わざるを得ず、この人が潜入している間は明らかに面白い。

一方でリーアム・ニーソンがダグラス・マッカーサーを演じているんだけど、これが物凄く落ち度のないヒューマニズムに溢れた尊敬すべき人格者として描かれていたり、そもそも朝鮮戦争を扱うのにきょうび観点が一方的過ぎやしないか等、この映画のリアリティ・ラインと実際の史実性のバランスがちょっと面倒臭い事になっているのは事実だと思います。

劇中、"ideology is thicker than blood"というセリフが何度か出てきまして、要するにそれは「血は水よりも濃い」に対して「イデオロギーは血よりも濃い」という事なのですが、奇しくもその血よりも濃いイデオロギー的な観点から「愛国」だの「反共」だの「安保」だのという思い思いの性質を「映画」という名詞と複合させてこの作品をラベリングし、批判したり擁護したりと韓国では盛り上がったらしいです。

私が願いますのは、一旦映画とイデオロギーを切り離して、すべての立場の人達が一丸となって「これからもイ・ジョンジェを色んな組織に潜入させてみよう!」と思って頂き、それが実現していく事でございます。
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