うなぎ

傷物語Ⅲ 冷血篇のうなぎのレビュー・感想・評価

傷物語Ⅲ 冷血篇(2017年製作の映画)
3.7
物語シリーズは中学生の頃のめり込んで、前日譚である今作は未視聴。その後もセカンドシーズンまでしか見てません。
現在劇場公開されている総集編が好評で、そちらを見に行こうと思ったのですが周りの話を聞くとできれば三部作を見た方がいいとのことで。
通しで試聴しました。

孤独に苛まれた少年は同じく誰にも知られぬまま朽ちてゆく吸血鬼を他人事にはできず、心から求められることの欲求、それが自分にしかなし得ないヒロイズムに抗うことができなかった。
命の天秤が恐ろしく不安定で、これこそ10代の危うさであり決して美化できない美しさの片鱗でもある。

少年少女にとって世界はいつだってセカイ系なのかもしれない。
誰かと繋がることが世界の命運と同じくらい重要だ。
その実フタを開けてみれば死ぬ勇気も殺す覚悟もない。でも自分が同じ立場に立たされたとき、果たして彼らの決断を不幸やフィクション、青臭さといった言葉で片付けることができるだろうか。

自分が大人になってしまったからかシリアスな本筋に対してコメディパートのバランスやリアリティーラインに首を傾げる部分もある。(羽川の存在・キャラデザがあまりに阿良々木君や少年視聴者に対して都合が良すぎるのも…)
この辺はTVシリーズの構成が黄金比かもしれない。
ただ常軌を逸した作画やシャフト節はやっぱり凄くて、引用やコラージュで構成された世界観は以降のアニメ・クリエイターに凄まじい影響を与えてると思う。

阿良々木君、これだけの苦境を共に乗り越えた羽川ではなくポッとでの戦場ヶ原とくっついたのは疑問だけど、自分にとって神聖な存在になりすぎて恋愛対象ではないのかもしれない。その気持ちはなんとなくわかるし「お前怖いよ」ってセリフは多分正しい。
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