ゆうすけ

マイ ビューティフル ガーデンのゆうすけのレビュー・感想・評価

3.6
少しの気休めにちょっと雰囲気を変えた作品に。
少々ストーリーの窮屈さと展開への駆け込みに結構なエネルギーを使ったが、それをも埋め合わせをしてくれる作品内でのセリフ(言い回し)や人の温度、花をはじめとする自然の湿度を、綺麗な色彩で表現を繰り返し、目と心を奪われました。
彼女の絵本作家という夢に向かって訪れる出来事の作品ということもあって、この90分間全てが絵本のような錯覚になった。日々の悩みと変えられない癖や性格、不器用なひととなりや戸惑う距離感など、充実した起承転結はないが、挿絵のような映像と、手書きフォントのようなセリフが、心地よい安心感とまた読んで欲しくなるような包容力を覚えた。
英国風の地味な香りを纏った彼女(英国に行ったことがないけど日本のただの地味ではない品があるという意味)だが、禁忌である閉館後の図書館に侵入し、“この危険な冒険をまだ続けたい?”というビリーに披露した作家としての表現は、前向きかつ大きな刺激を与えてくれた。
もちろん、作品の軸である隣人との素敵な掛け合いと時間の流れが、美しいお庭とお部屋とお洋服に調律され、華やかにそして穏やかが溢れていた。
これは観ていれば自然に感じることだが、彼女自身の絵本に自らも参加することで、それぞれがより魅力的な作品として感じることができるかもしれません。
ちょっと休みたい、なんだかもやっとする、または極端に大切な人・好きな人を思い浮かべたいとき、そんなときに観て頂くと心地よい、そんな作品です。
ゆうすけ

ゆうすけ