(ホロコーストの)否定と肯定。
小さい頃から学校で勉強してきた「歴史的事実」なんてものを、僕らはほとんど疑うこともなくただただ信じ込んできたけれど、いざその真偽を目の前に突きつけられるとなると、自信を持ってYesかNoかを主張できるものはとても少ないのかもしれない。
「もっともらしさ」ほど怖いものは他になくて、真実に見せかけた嘘っぱちは世の中にはいくらでも転がっているし、それを一度冷静になって審議することのできる態度を我々は「教養」と呼んでいるのかもしれない。
善か悪かの二元論を超えて、注視すべきは目の前にある事実と、それを操ろうとする人間の感情。
社会派映画にも関わらず、法廷サスペンスの手法をうまく取り入れて、抑揚のある物語に仕上げている。
ホロコースト否定論者のディヴィッド・アーヴィング役を演じたティモシー・スポールの憎たらしい演技と、ダンケルクでも活躍したジャック・ロウデンの淡々とした"口撃"が最高です。
フェイクニュースの時代に生きる今こそ、誰もが見るべき良作。